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C i n e m a    T h e r a p y

​3.過ぎたことや先の心配ばかりのあなたに

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『アバウト・タイム』2014

​  

監督 リチャード・カーティス

​出演 ドーナル・グリーソン

レイチェル・マクアダムス 他

21歳を迎えたティム・レイクは、レイク家の男性には代々タイムトラベルの能力があるということを父親から知らされる。​

​初めは信じられないティムだったが、戻りたい時間と場所を強く念じることで過去にのみ戻ることができた。

歴史を変えることはできないが、自分の人生に起きることを変えてしまうことができる。

これを利用して、ティムは恋愛に力を使おう!と決めたのだが、初恋はどうやっても叶わなかった。このことから、力を使っても思い通りには愛は手に入らないことを学ぶ。

その後も力を利用して、自分の人生を何とかうまくいくように修正しようと頑張るのだが・・・

 

 

タイムトラベルは本作では特に万能感のあるものではなく、都合よくティムが人生をコントロールするというストーリーにはなりそうもない、というのが観客にもわかります。

書き換えた過去によって、微妙に未来も変わってしまうからです。

人生を書き換えたいといっても、ダメな部分だけを変えられたらいいのですが、良い部分も変わってしまうのだとすると困りますね。

何かを得るためには、何かを失ってしまうものなのかもしれません。

だから、これは単なるSFストーリーではなく、その悲哀も充分に見せてくれます。

 

何度も過去に戻って人生の細かい部分を修正しようと奮闘するティムに、ある日、父親が言います。

「一日を過ごしたら、過去に戻って同じ一日をもう一度過ごしてみなさい。そうすればきっと、一度目は気づけなかった素晴らしいことに気づけるだろう」

 

ティムは何もなかった普通の一日を、最初からもう一度過ごしてみました。

同僚の失敗を応援し、接客した店員の笑顔が素敵なことに気づき、仕事場の内装がこんなに素晴らしかったのか、と気づくのです。

それは何もない普通の日だからこその幸せでした。

 

何かの出来事によって幸せ感を得るのではなく、何気ない一日こそが幸せであり、大切な一日であることが分かったことで、タイムトラベルしなくても、何もない日の素晴らしさに気づけるようになっていきます。

  

今までは、幸せになるために過去を修正しに戻り、思うように人生のストーリーを作っていくことに頑張っていました。

しかし幸せとは、思うような人生をつくっていくことではなく、今ある、良いことや悪いことをすべて味わうことだったのです。

もっと大きな目で日常を見れば、思うようにいかないことさえも人生の一ページです。それも、自分の一ページとして自分が愛してあげれば良いのかもしれません。

  

  

私がおこなっているコーチングの時に、クライアントさんと一緒に目標を立てますが、あまり詳細な未来や目標を考えないようにしています。

そうしてしまうと、その目標以外が目に入らなくなり、本当は素晴らしいチャンスが他にめぐってきても、決めた目標とは違うからと切り捨ててしまうことになりかねません。これでは、その人の人生を考える時に本末転倒ではないかと思うのです。

  

もっと大きな目で人生を見て、巡ってくるものにも気を留めましょう。

目標はただの目標。それ以外のことに心をうばわれるなら、それも人生に必要なことかもしれないのです。自分で道を進めつつ、やってくるものにも心を開くことが大切だと思います。

いつだって、オープンマインド。

​  

それには、今日一日のすべてを愛すること。

今、すべてに気づきながら生きようとすること。

修正しようとする前に、今あるもの、巡りあうものを、きちんと味わうことで、過去に戻ることも必要なくなるのです。

同時にそれは、進んでいるということですから、未来を不安になることもなくなるのです。

  

自分だけの幸せをつくることに執着して、周りで起きている出来事に目を開かないでいるうちに、感情や感動からはずっと遠ざかってしまうものなのかもしれません。

​この映画を観ていると、それを強く思います。

  

​ 

今夜寝る前に、今日一日を最初から思い出してみてください。

何がありましたか?何を見ましたか?どこに行きましたか?誰に会いましたか?

その人はどんな表情でしたか?

  

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